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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(オ)411号 判決 1954年2月11日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

弁済の効力は供託によつて生ずる。供託者は供託受領証書を債権者に交付することを要するが、その交付は供託の有効要件と解すべきものでないことは、引用の判例においても判示するとおりである。論旨の中、弁済供託は供託書を債権者に交付しなければ弁済の効力を生じないとの主張は、採ることを得ない。また判例違反をいうが、原判決は所論引用の判例どおりのことを判示しているのであつてこれに違反する点は認められない。その他の論旨は結局単なる訴訟法違反、事実認定の不当を主張するに過ぎないのであつて、すべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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